時代に翻弄されるエンジニアのブログ

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Unity UI Toolkitで変わる?AIとの協調によるUI開発の新時代

Unity UI Toolkitで変わる?AIとの協調によるUI開発の新時代

こんにちは!今回は、UnityのUI Toolkitを使って、AIと一緒にUI開発を進める方法についてお話ししたいと思います。最近、AIによるコーディング支援が注目されていますが、Unity開発、特にUI部分でどう活用できるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか?

Unity UI Toolkitって何?

Unity UI Toolkitは、Unityの比較的新しいUIシステムです。Web開発でおなじみのHTMLやCSSに似た考え方を取り入れていて、UIの構造をUXMLXMLベースのマークアップ言語)、見た目をUSS(Unity Style Sheets、CSSに似た言語)で定義します。

これまでのuGUI(Unity GUI)が、シーン上にGameObjectを配置してコンポーネントを設定していくスタイルだったのに対し、UI Toolkitはよりデータ駆動型で、コードベースでのUI構築と相性が良いのが特徴です。

UI Toolkitの基本的な使い方

まずは、UI Toolkitをプロジェクトで使うための簡単な流れを見てみましょう。

1. UI Documentコンポーネント: シーン内のGameObjectに UIDocument コンポーネントを追加します。
2. UXMLファイルの作成: UIの骨組みとなるUXMLファイルを作成します。例えば、ボタンを一つ配置するなら、こんな感じです。

<!-- sample.uxml -->
<ui:UXML xmlns:ui="UnityEngine.UIElements">
    <ui:VisualElement style="flex-grow: 1; justify-content: center; align-items: center;">
        <ui:Button text="Click Me!" name="my-button" />
    </ui:VisualElement>
</ui:UXML>

3. USSファイルの作成: ボタンの見た目を整えるUSSファイルを作成します。

/<em> sample.uss </em>/
.unity-button {
    width: 120px;
    height: 30px;
    background-color: rgb(60, 120, 240);
    color: white;
    border-radius: 5px;
    font-size: 14px;
}

.unity-button:hover {
    background-color: rgb(80, 140, 255);
}

4. UI Documentに設定: 作成したUXMLファイルを UIDocument コンポーネントのSource Asset に設定します。USSファイルはUXML内から読み込むか、UIDocumentの Style Sheetに追加します。
5. C#スクリプトからの操作: ボタンがクリックされたときの処理などをC#スクリプトで記述します。

// SampleUIScript.cs
using UnityEngine;
using UnityEngine.UIElements;

public class SampleUIScript : MonoBehaviour
{
    void OnEnable()
    {
        var uiDocument = GetComponent<UIDocument>();
        var root = uiDocument.rootVisualElement;

        var button = root.Q<Button>("my-button");
        if (button != null)
        {
            button.clicked += OnButtonClicked;
        }
    }

    void OnButtonClicked()
    {
        Debug.Log("Button clicked!");
    }
}

こんな感じで、構造(UXML)、見た目(USS)、振る舞い(C#)を分離して開発を進められます。

AIとの連携:UXMLとUSSの生成

ここからが本題です。UI Toolkitの大きな利点の一つは、UXMLとUSSがテキストベースであることです。これは、AIにコード生成を依頼する際に非常に都合が良いのです。

例えば、AIアシスタントに次のように頼むことができます。

「ユーザー名とパスワードの入力フィールド、そしてログインボタンを持つシンプルなログインフォームのUXMLを作成してください。USSで、背景は白、入力フィールドには枠線をつけ、ボタンは青色にしてください。」

AIは、この指示に基づいてUXMLとUSSのコードを生成してくれるでしょう。もちろん、複雑なデザインやレイアウトになると調整は必要ですが、基本的な骨組みやスタイルをAIに任せることで、開発の初速を上げることができます。

従来のuGUIのように、エディタ上でGameObjectを配置し、インスペクターで細かく設定していく作業は、AIに直接指示するのが難しい側面がありました。しかし、UI Toolkitなら、テキストベースの指示でUIの構造や見た目を生成させやすいため、AIとの協調がよりスムーズになります。

まとめ:AI時代のUI開発スタイル

Unity UI Toolkitを使うことで、UIの構造(UXML)と見た目(USS)をコードとして扱えるようになります。これにより、

  • AIによるコード生成: デザインやレイアウトのコード生成をAIに依頼しやすくなる。
  • バージョン管理: テキストベースなのでGitなどでの差分管理が容易になる。
  • 再利用性: UXMLやUSSをコンポーネント化して再利用しやすい。

といったメリットが生まれます。

特に、MonoBehaviourを継承してGameObjectとしてシーンに配置する従来のコンポーネントは、エディタでの設定が多くなりがちで、AIに「いい感じに配置して」と頼むのは困難でした。UI Toolkitなら、デザインも含めてコードで定義できるため、AIに任せられる範囲が広がります。

もちろん、UI Toolkitが万能というわけではありませんが、AIとの連携という観点では、非常に有望な技術だと感じています。ぜひ、皆さんもUI Toolkitを試してみて、AIと一緒に新しいUI開発のスタイルを探求してみてはいかがでしょうか。